ジェイテクト、業界初、水素環境用軸受評価試験機を開発

 ジェイテクトは、水素環境用軸受評価試験機を開発し、同社国分工場(大阪府柏原市)に設置した。純水素ガス環境において軸受を実際の荷重・回転条件で評価できる業界初の試験機で、特殊な回転伝達機構、荷重負荷機構の採用により、水素ガス恒温槽(試験機内の水素ガスの温度が-30℃から120℃の間に保たれるよう制御)の密閉性を維持し、外部からラジアル荷重とアキシアル荷重を同時にかけながら、高速回転での試験が可能。

 地球温暖化が深刻化する中、実現が期待されるゼロエミッションでクリーンな水素社会の実現に向け、同社では開発した水素環境評価技術をもって貢献していきたい考えだ。

kat19080202試験機外観(左)と試験機構造(右)

kat19080203試験機仕様

 下図は、一般軸受鋼製の玉軸受を水素環境軸受評価試験機で評価した例で、比較のため、大気環境で同様の評価を実施した結果も示している。水素環境で転動した軸受は、大気環境で転動した場合に比べ、半分以下の時間ではく離が発生することが分かる。

kat19080204水素環境および大気環境における一般軸受鋼の耐久試験結果

 下図は、水素環境試験後および大気環境試験後の軌道直下のミクロ組織を示している。水素環境試験サンプルは、はく離部近傍に白色の組織変化(白層)を伴い、顕著な疲労組織が見られるのに対し、大気環境試験サンプルは、異常な組織変化もなく、水素環境試験サンプルに比べ疲労組織が軽微となっている。

kat19080205水素環境および大気環境における一般軸受鋼の耐久試験後の組織写真

 このことから、一般軸受鋼製の玉軸受は、水素環境において、軌道直下で転位の活動が促進され、白層を伴う早期剥離が発生する水素環境特有の破損モードを確認できた。

 下図は、一般軸受鋼および耐水素性を有する特殊ステンレス鋼の玉軸受を水素環境軸受試験機で評価した例で、水素環境で転動した一般軸受鋼製の軸受は計算寿命の約2倍ではく離したのに対し、特殊ステンレス製の軸受は計算寿命の約12倍の耐久性を示した。本評価設備において、特殊ステンレス製の軸受の耐水素性を実証できた。

kat19080206水素環境における特殊ステンレス鋼と一般軸受鋼の耐久試験結果

 このように、ジェイテクトでは、本試験機により、水素環境中における材料および潤滑剤の評価が可能となり、水素環境でも安心して使用できる軸受を開発することが可能となっている。