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第9回ものづくりワールド名古屋

 

NTN、流体動圧軸受の販売を拡大

 NTNは、独自に開発した流体動圧軸受「動圧ベアファイト」の販売を拡大している。「動圧ベアファイト」は小型・軽量で優れた静音性を持ち、自動車のEV・電動化に伴い、より高い静音性が求められる車載装置向け冷却ファンモータなど新たな用途への採用が拡大している。2025年度には、2022年度の約1.5倍となる約1億5000万個/年の生産を目指す。

NTN 流体動圧軸受「動圧ベアファイト」 bmt ベアリング&モーション・テック
流体動圧軸受「動圧ベアファイト」

 

 動圧ベアファイトは、すべり面で軸を受け、軸受すきまに油などの流体潤滑膜を介在させて回転を支える特殊すべり軸受。独自の精密加工技術により、焼結含油軸受の内径面に深さ数µmのへリングボーン型動圧溝を設けているため、軸受すきまの全周で油膜を形成することができ、アンバランス荷重がかかる場合においても軸の振れ回りを抑え、高速回転に対応することが可能。

 非接触で回転を支えるため優れた静音性を実現、動圧ベアファイトを使用したファンモータの騒音(音圧)は、転がり軸受を使用した場合の約1/2に抑えることができる。また、ファンモータや小型モータに使用されるミニアチュア軸受(外径9mm未満の転がり軸受)を動圧ベアファイトに置き換えた場合、外径寸法を30%、重量を24%削減することが可能なため、搭載する装置全体の軽量・コンパクト化にも貢献する。動圧ベアファイトは1998年の発売以来、材料の変更や潤滑油の見直しなどの改良を重ねながら、ノートPCなどのモバイル端末のファンモータなどに多数採用されている。

 近年、自動車の電動化が進み、これまで内燃機関車で発生していたエンジン音などのノイズがなくなるため、室内空間の快適性の向上に向けてこれまで以上に電装補機類には作動音の低減が求められている。動圧ベアファイトはこうしたニーズに対応する商品として、その優れた静音性などが高く評価され、新たな用途として車載向け冷却ファンモータへの採用が拡大している。優れた静音性により快適な室内空間を提供するとともに、装置の小型・軽量化による自動車の燃費や電費の改善にも貢献している。

 さらに、金属粉末をプレス成形して製造するため、旋削や研削などの加工が不要で、投入した材料のほぼ100%を製品化することが可能となっている。材料を廃棄することなく、資源を有効に活用することで、環境にも優しく生産性の向上にも貢献する持続可能な製造方法も特徴としている。

 NTNは、本商品を、EV・電動化の加速に伴い静音性へのニーズがますます高まる車載装置などの自動車をはじめウェアラブル情報機器、一般家電など幅広い分野に展開していく。

 一般的なミニアチュア軸受と比較しての本商品の特徴は以下のとおり。

・高い静音性:騒音レベル 約6dB低減(音圧は約1/2)

・軽量・コンパクト:重量24%低減、外径寸法30%低減

・高温環境下における信頼性:耐熱100℃以上

・高回転精度:軸の振れ1/3以下(NRRO:非繰り返し振れ精度)

・高い環境性能:歩留まり100%で投入資源のほぼ100%を製品化、廃棄材料なし