ジェイテクト、新規事業でパワーアシストスーツの市場投入を発表

 ジェイテクトは5月29日、名古屋市中村区のキャッスルプラザホテルで記者発表会を開催、4事業に関する事業戦略などについて報告した。今回はさらに、新規事業の推進に関する発表があった。
安形社長事業戦略について報告する安形社長

 当日は、安形哲夫・同社社長が2017年3月期の業績や2018年3月期の業績予想、各事業における中期経営計画の進捗状況・事業戦略について報告した。

 2017年3月期の業績は、円高の影響で売上高が1兆3183億円と5.8%の減収、営業利益が774億円と5.5%の減益となったものの、利益率は前年並みを維持した。事業別売上では、ステアリングが売上高6382億円、ベアリングが同3,754億円、駆動が1482億円、工作機械・メカトロが1425億円となった。

 2018年3月期の通期業績予想では、為替の影響や北米の下流EPS立上げ準備などの費用増によって、売上高は前年度比1.4%減の1兆3000億円、営業利益は同12.2%減の680億円、経常利益は同12.9%減の680億円と減収・減益を見込むが、下流EPSの事業安定・将来投資の効果回収によって成長路線に戻していく。

 次いで中期経営計画の進捗状況の報告として、各事業の事業戦略が発表された。

 軸受事業では、「業種別・品種別戦略と地域戦略による高収益事業への転換」を掲げ、特にコスト競争力の強化と開発・生産・販売強化を進める。自動車向けの構成比率が特に高い同社では利益率の高い産業用・市販分野の強化が課題となっていることから、自動車用軸受で培った低トルク技術、小型・軽量化技術を産業用途に展開する。ハイブリッド化の進む建機・農機でも燃費向上・電費向上に向けた需要が高まっていることから、低トルク技術や小型・軽量化技術の提案を強化する。鉱山機械などに見られる自動化や保全費用の低減、生産性の向上といったニーズからは、軸受のセンシング技術や状態監視サービスなども含めたトータルでの提案を展開し、産機向け軸受を強化していく。

 そのほか、ステアリング事業では自動車用ステアリングの市場が中・大型車へと拡大する中でグローバルシェア26%のトップシェアを維持するため、従来油圧パワーステアリングでしか対応できなかったトラックにも搭載可能な高出力の大型車用ラックパラレル式電動パワーステアリング(RP-EPS)の開発を急ぐ。また、自動運転レベルの進化に合わせ、SBW(ステアバイワイヤ)開発の推進や電源を含む完全ハードウェア冗長化を目指す。

 駆動事業ではAWSや油圧など強みを活かした特徴あるシステムサプライヤーとしての提案力を強化していく。デフメーカーとの共同開発により軽量・コンパクトで高応答といった一層のAWDシステムの強化を図るほか、トランスミッション用やステアリング用などあらゆるニーズに適用できる油圧システムのシステムサプライヤー化やAWD用や水素供給など新市場創出に向けた油圧システムの領域拡大を図る。

 工作機械・メカトロ事業では、「ものづくりすべてのフェーズでバリューを提供できるIoEを活用した総合生産ラインビルダーの地位を確立」を掲げる。既存の制御盤回路にアドオンすることで設備規模に合った制御システムに拡張できる独自技術「TOYOPUC-Plus」の活用や、グループ企業の保有する固有技術を連携させたシステムエンジニアリング力によって、社内工場・ユーザーへのIoT化・スマートファクトリー化を提案・展開していく。

 同社では今回、「Human Harmonics人と機械の調和」をコンセプトに社会課題と同社の強みをマッチングさせ、持続的成長の柱となる新規事業を推進することを発表。その第一弾として、少子高齢化や労働人口不足、労働災害の増加、女性活躍推進といった社会課題と同社の強みであるEPSで培ったアシスト技術、ロボティクス技術、ベアリングで培ったトライボロジー技術や小型・軽量化技術、工作機械で培ったものづくり力などをマッチングさせ、パワーアシストスーツの開発を進める。

 本年4月から約20名の部門横断的な組織「新規事業推進部」を新設。各事業部やグループ企業と連携しながら、2018年春をめどに新規事業開発商品第1弾となるパワーアシストスーツを市場投入する計画。同社のEPSで培った反力制御技術が、関節の動きを角度センサなどでとらえてパワーアシストを行うといった従来の方式よりも、適切なタイミングで適切なアシスト力を発生させ、人と強調した支援が可能として、後発メーカーながら差別化を図っていく考えだ。製造現場での高齢者や女性の活躍を支援するほか、運送関係、さらには介護分野での労働災害防止を目的とした適用も視野に入れる。パワーアシストスーツ開発中のパワーアシストスーツ