日本滑り軸受標準化協議会、第27回総会を開催、新会長に林洋一郎氏(オイレス工業)が就任

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 日本滑り軸受標準化協議会(PBSA)は6月27日、東京都千代田区の学士会館で「2018年度 第1回総会(通算 第27回総会)」を開催した。

 当日は、最初に挨拶に立った笠原又一PBSA会長(オイレス工業)が、「当会はISO/TC123(滑り軸受専門委員会)平軸受国内委員会の国際標準化活動の支援に主眼を置いているが、SC8(滑り軸受の計算法及び応用)がタイとのツイニングで設立されたことや、フィリピン版『滑り軸受ハンドブック』が年内には発行できる見通しであることなど、活動はほぼ計画通りに遂行されている。出版されているISO/TC123国際規格(IS)75件を購入しPBSAで保管・運用を決めた。会員には、規格策定のために有効利用していただきたい」と述べた。

18071402PBSA総会笠原PBSA会長

 また、染谷常雄PBSA顧問は、「日本のすべり軸受の標準化の取組みは、当会の活発な活動のおかげもあって、今や世界をリードしている。そうした中にあって当会は今後、すべり軸受の標準化を進めるだけではなく、自動車の電動化・EV化が加速される中で、内燃機関の主要部品であるすべり軸受の活路を見出すための技術的取組みも含めて活動すべき。工業会の設立も視野に入れて、すべり軸受がより愛される存在となるよう、皆で努力していこう」と呼びかけた。

18071403PBSA総会染谷PBSA顧問

 続いて、2017年度の活動報告がなされ、2018年度の活動計画が発表された。2018年度の計画として、本年10月24日~26日にドイツ・ベルリンで開催されるTC123およびSC国際会議の支援や、アジア諸国との技術交流、特にSC8ツイニングに関するタイとの交流、表面改質技術(MoS2、DLC)の国際標準化作業の支援、ISO/TC123の創立50周年記念事業案の検討などについて報告があった。

 その後の役員改選では、2008年から会長を務めてきた笠原氏に代わって、新会長に林洋一郎氏(オイレス工業・上席執行役員 研究開発部長)が選任された。就任の挨拶に立った林PBSA新会長は、「当会はISO/TC123平軸受国内委員会の国際標準化支援がメインの事業ではあるが、染谷顧問が言われたようなプラスアルファの取組みが必要と感じている。工業会化した時点でというのではなく、当会として今からでも、やるべきことは着実に進めていく。当会は我々すべり軸受のメーカー企業だけでなく、ユーザー企業も、アカデミアも参加しているため、それぞれにとってメリットのある標準化は何か、必要な取組みは何かなど、情報交換や議論をしながら模索し遂行していきたい。染谷会長、笠原会長に続く三代目会長として、微力ながら職務を全うしたい」と語った。

18071404PBSA総会林PBSA新会長

 さらに、ISO/TC123平軸受国内委員会の活動状況報告では田中 正委員長(大同メタル工業)が、将来のすべり軸受の計算方法の標準化について同氏よりレイノルズ方程式とエネルギー方程式を同時に解く「Simple THL(熱流体潤滑)」を標準化する提案がなされ、関心の深いフランスと日本とが今後協力して進めたい考えを示した。また、表面改質技術の規格化として、二硫化モリブデン(MoS2)を潤滑剤とする表面改質技術と日産自動車の研究成果に基づくDLC膜の密着力評価法を、SC7に新規提案する計画であることなどが報告された。

18071405PBSA総会田中ISO/TC123平軸受国内委員会委員長

 総会終了後は宇都宮大学教授の馬渕 豊氏より、「自動車の燃費向上に向けた真空蒸着膜Diamond Like Carbon膜の開発」と題する講演が行われた。自動車業界の最大の課題である省燃費性の向上に向け各社でトライボロジー技術によるフリクション低減のための開発が進められているが、それぞれの部品の潤滑状態に応じた適材適所の方策が選定され、境界潤滑~混合潤滑領域下では、バルブリフターやピストンリングなどへのDLC膜の適用が進められている。中でも、同氏が日産自動車在籍中に採用した水素を含まないDLC膜は潤滑下のフリクションを大幅に低減できるが、そのメカニズムとして水素を含まないことで表面の活性が増し、潤滑油中の油性剤の吸着を促進し低フリクション化を助長すると説明。今後のDLC膜の方向性としては、摩耗負荷の厳しい部位に対してはドロップレットを含まない水素フリーDLC膜の製法(FCVA)が好ましい、と結言した。

18071406PBSA総会宇都宮大学・馬渕氏